さよならお兄ちゃん

2012.06.02.Sat.13:34
さよならお兄ちゃん
作品一覧 佐井 識 様)

 結婚寸前で、婚約者が謎の失踪を遂げた。その15歳の妹・紫野を引き取って暮らし始めた23歳の青年・隆之介。兄になかなか心を開こうとしない妹と、妹にどう接していいのかわからない兄。それでも、残された者同士の絆はゆっくりと育まれていく――。
 そして7年が経った春の夜、ふたりは「最後の晩餐」を迎える。(作者様のあらすじより抜粋)

 とても切ない疑似家族もの。
 構成・文章力、ともに非常にハイレベルです。文芸誌とかに載ってそうな感じ!(※文芸誌を買ったことないんで、あくまでイメージ)
 なので、いろんな作品を書いてこられた方かな、と思ったら、こちらが初めてお書きになった小説だそうです。すごいなー。

 物語は、お人好しの御曹司・隆之介さん、彼の義理の妹である紫野がメイン。そして、間接的に語られる、失踪した紫野の姉、更にもう一人の女性が鍵となります。このお話に出てくる女性たちは、みな、狡くて、弱くて、ある意味とても強かです。 
 だからこそ、隆之介さんは、紫野の姉に惹かれ、紫野と兄妹であることにこだわったんだろうなーと。

 そんな隆之介さんは、紫野いわく「ちょっと抜けてる」穏やかな男性。私の印象は、上辺だけじゃない優しさ・包容力を持った人、でした。泳げない人、体力のない人が、溺れかけた人を助けることはできないですよね。紫野の救いだっただろう彼は、本当の意味で強い人じゃないかな、と思いました。

 義理の兄妹に生じた緊張が緩む時、ある食べ物の描写があって、キャラの心情を象徴するよーな演出が、ほんっと心憎い! しっとりふわふわで、黄色いアイツな! 私も食べたい。
 すんごくオススメです。完結済、全14話の中編。
Comment
ありがとうございます!
KONAさま、はじめまして。
『さよならお兄ちゃん』作者の佐井識と申します。
たまたまこちらのサイトを見かけたところ、一番上に自分の作品が紹介されていて驚くとともに、とても嬉しくなりました。
丁寧なご紹介の言葉、本当にありがとうございます。
「間接的に語られる女性」や「ある食べ物の描写」など、実は自分では特に意識して書いていたわけではないのですが、そういう部分を汲みとってくださっていただくのは作者冥利に尽きます。

突然乱入して失礼いたしました!
天ヶ森雀さん『真白き雪の降る如く』やまめごさん『文房具売り場の遠野さん』など、私自身大好きな作品が紹介されて、嬉しさ倍増です。
また拝見させていただきます。
佐井識さま

初めまして、管理人のKONAと申します。
こちらこそ素敵なお話を拝読させていただき、ありがとうございました。
「さよならお兄ちゃん」、二人の緊張感あるやりとりに最後まで惹きつけられました。
あの食べ物のシーンがとっても好きなのですが、意識していないのだとしたら、こりゃもー生まれながらのセンスですね! 羨ましいっす><

「真白き~」も「遠野さん」も、楽しい作品ですよね!
佐井さまの今後の創作活動の方も、陰ながら応援しております。
コメントありがとうございました。

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