Bright Dawn

2014.08.05.Tue.12:21
Bright Dawn
作品一覧 Jules 様)

 吹きつける雪の中、ネル・マクファーレンは馬車に揺られ、悲しみに沈んでいた。4年前に視力を失って以来、どんな男性も彼女と結婚しようとは思わなくなったのだ。そして今、性悪の従兄・ロチェスターに引き取られ、無理な結婚をするようほのめかされている。もう二度と、ネルの世界に光が差すことはないのだと諦めかけていた……突然現れた『彼』 に、助けられるまで。(あらすじ 作者様)

 以前ご紹介した「Lord of My Heart」のスピンオフ的作品。盲目のヒロインと伯爵家の弟のお話です。連載中のヒストリカルロマン。
 前作も大変面白かったんですが、こちらの作品もすごく良いですわー。単品で読めないこともないですが、もし時間があるなら、完結済みの前作から読むことをおすすめします。

 ヒーロー・ローナンはヒロインの理想が服着て歩いているような男性です ユーモアがあって頼りになって、何より、ありのままの自分を丸ごと受け止めてくれるんだもん。そりゃー、一瞬で恋に落ちますって(笑)

 ネルも、前作のヒロインとはまた違ったかわいらしさがあって、本来の明るさや負けん気が垣間見える場面などは、とっても魅力的なのです。
 二人で朝日を見るシーンは、読んでる私のほうも心が温まりました。ええ話や……!
 ここからさらに一波乱ありそうですが、大団円めざして、二人にはぜひ頑張っていただきたい。更新がとても楽しみです。

落陽記

2014.03.12.Wed.12:32
落陽記 【R15】
作品一覧 ココナッツ 様)

 玉兔は寧国の最後の王女であり巫。国を滅ぼされ、敵国、興へと将軍陶雄元に連れて行かれることに。聖地、金烏宮殿で囚われの身となった彼女は、金の足枷をした公子と出会い興国の盛衰に関わっていく。(あらすじ 作者様)

 いやはやー。こんな本格中華FTがネットで読めるとは。すばらしい!
 ゴリッと重厚で、固めの文体がすごく好み。戦記的な要素もありつつ、ベースが少女小説なので、抒情的で、甘さのある、たいへん私得な作品でした。
 個々のキャラクターも生き生きしてるし、西洋や和風とはひと味ちがった、中華風の世界観が面白いです。

 あと、すっごい好きなキャラが途中退場してしまって、じわっときた。無茶しやがって……!
 ほんのり逆ハー要素ありで、そういうのが好きな方にもおすすめ。ひっじょうに読みごたえのある長編。全65話。

 ☆ 続きはいただいた拍手コメントのお礼になります。

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千年ヒヨコと宇宙の卵

2013.11.05.Tue.11:44
千年ヒヨコと宇宙の卵
作品一覧 古池ケロ太 様)

 1464年、ヴェネツィア共和国。 暗殺者として育てられた少年クリスは、元首暗殺の任務のさなか、不思議な少女プルチーニと出会う。 彼女は千年温め続ければ宇宙を生み出すという『卵』を守る自動人形だった。(あらすじ 作者様)

 時代+ファンタジーの中編。全17話。完結。
 ボーイミーツガール、暗殺者、自動人形(ロボット)、動物を連れた少女、ルネサンス期のイタリア、教会……これらの小さなパーツが組み合わさって醸し出される、独特のテイストが、とっても好みでしたー

 人形であるはずの少女が紡ぐ言葉は、おちゃめで、とても温かいんです。
 それこそ、卵が孵化するようなやわらかい温度で、盲目的に神を信じていた少年に、変化をもたらします。
 表層は軽いし、ラノベっぽさもあるのに、読んでていろいろ考えてしまったくらい、深みのあるお話でした。

 「人間は神サマの操り人形なんかじゃない」──千年もの間、人の世を見てきたプルチーニが言うと、ルネサンス期のイタリアってのも相まって、なんかもう泣くしかないだろ! っていう。
 最後は斜め上な展開でびびった。卵って……そうきたか! みたいな。
 やっぱロボットとか、AIもの、いいなぁ。しみじみそう思った作品でした。

冬に咲く花、春を待つ空

2013.10.08.Tue.15:50
冬に咲く花、春を待つ空
作品一覧 つじなつる 様)

 ランバルド王国の王女クリスのもとに、空から舞い降りてきた男・ヴィート。 彼は先の戦争で「不死身の悪魔」と呼ばれた空軍のエースパイロットだった。 国を揺るがす二つの戦争の狭間で、二人の想いは通じ合うのか。(あらすじ 作者様)

 1940年代ごろの、架空のヨーロッパを舞台にした恋愛小説。
 めっちゃ面白かった! 一気読みした!

 小国の次期女王と、先の戦争で活躍したパイロット。二人の邂逅から物語はスタート。
 独立国の誇り、大国の干渉。その狭間でゆれるランバルドで、国を象徴する彼らは、周囲の思惑に翻弄されます。出会いこそファンタジック(空から落ちてくるのは、女の子だけじゃないw)ですが、ストーリーはシリアス寄り。

 こちらの作品、主役の二人がとーっても魅力的なんです!
 ヒーロー氏、ギャップ好きにはたまらないですねー。飄々としつつも頼れる上司だし、恋愛慣れしてそうなのに本命には紳士。誓いのシーンはほんとにかっこよくて、なんかもう泣けてしまった。
 彼のモデルは実在のあの人だと思われますが、にしても、あのゴツイ経歴の持ち主が、違和感なくロマンス小説に馴染んでてスゴイ。

 もうひとりの主人公である王女は、一見すると、王族設定によくある典型的なワガママ姫。でも、その内面は、重圧と若さの間で葛藤する、とても共感できるキャラクターでした。その上、カリスマも備えた美少女。
 そんな若き王女の成長も、見どころだと思います。

 ロマンスを壊さない程度に、迫力ある空中戦や、戦争の過酷さも描写されていて、甘いだけじゃない硬派なところも良かったです。
 全20話、完結。きれいな文章にほどよい長さで、ひっじょうにオススメ。

きつねよめ

2013.09.16.Mon.23:46
きつねよめ 【R15】
作品一覧 二宮酒匂 様)

 跛(びっこ)を引いたえせ山伏・新右衛門は、村を渡り歩き、日銭を稼ぐ貧しい暮らしに、ほとほと嫌気がさしていた。ある日、男は村の社で、しゃべる狐の仔を見つける。その狐を捕らえ、見世物にでもしようとたくらむ新右衛門だったが────。(あらすじ KONA)

 昔話風の、和風FT。ただし、やや大人向け。
 設定や時代がかった言い回しなど、隅々まで作りこまれた中編です。個人的な感想だけど、商業レベルまでいくんじゃないかなぁ。

 新右衛門の、決して善人とは言えない、でも悪者にもなりきれない人物像が良いです。一方の狐の仔、「こがね」は純粋で一途で、かわいらしい。
 そんな彼らのやりとりは、微笑ましくもある。のですが。これ以上はネタバレになるから言えないな!

 全11話、完結済。ところどころに残酷描写があるので、苦手な方はご注意。
 木下順二さんの「夕鶴」や、新美南吉さんの「ごんぎつね」みたいな雰囲気のお話が好きな方は、必読ですよ!

戦国リーゼント

2013.07.18.Thu.22:51
戦国リーゼント
作品一覧 寛喜堂秀介 様)

 時は戦国。 ヤツらは突然やってきた。 唸るバイクにはためく長ラン。風になびくはリーゼント。 喧嘩上等の暴走族。山田正道と舎弟100名、乱世に特攻むぜ! 「……ところで、戦国時代ってなんだァ?」こんなやつらが乱世をナナメ上に突っ走る戦国ヤンキーコメディ!(あらすじ 作者様)

 戦国時代に、バイクごとトリップした暴走族の山田と舎弟たち。信長とタイマンしたのち、彼の兄弟分となった山田は、信長の野望を助けていきます。

 バカだけど、義侠心に溢れる山田がいいキャラw 脇役もいい味。各話の最後にちょいちょい出てくる、濃姫(信長の正室)かわええ。

 脳筋な彼らが、歴史に関わっていく過程は、笑えるし面白い!
 なんせ、「信長? 誰?」っていうレベル。トリップ後も暴走しまくりで、あっというまに燃料を使い果たすしw そんでもって、石油王フラグが立つという超展開。
 とっても気楽に読めるので、軽くて笑えるお話をお探しの方はぜひ。全27話。完結済。

シスター・オルランドへの手紙

2013.05.01.Wed.01:29
シスター・オルランドへの手紙
作品一覧 山本 水城 様)

 ダチェット伯爵の末の妹・リルは、内気な少女。彼女は、あるシスターと手紙を交わすうちに、いつしか修道院に入ることを願うようになっていた。けれど、兄の旧友だというテディに心を揺らされ────。(あらすじ KONA)

 面白かったですー!
 主人公・リルは、ふわあま系ヒロインです。でも、家庭内での立場は、けして甘くない。
 特に、長兄の伯爵が、彼女に辛く当たります。彼が物語にワサビ的な彩りを添えていて、絶妙な甘辛バランス。
 リルに優しい義姉・アンのキャラも素敵。けれど、過去に起因する、ある問題を心身に抱えるリルは、アンにも本音で話せない。
 
 そんな感じなので、リルが修道院に入りたいと願うのも共感できるし、兄が本心を吐露するシーンは、短いやりとりなのに泣けたー。

 さて、リルの前に現れた熊のような男性・テディは、彼女を翻弄するばかりでなく、伯爵に隠れて何かを探っている様子。ロマンス要素に加え、彼の素性も気になるところです。
 ヒストリカルロマンスらしい、小粋な会話も良かった。締めのセリフにはニヤリとさせられました。完結済。全49部。

亡霊王の花嫁

2013.02.11.Mon.23:34
亡霊王の花嫁
作品一覧 香柳 様)

 ミスカはオアシスの小村に住む少女。いざこざに巻きこまれたあげく、砂漠の廃墟をさまよう亡霊王の花嫁になれと命じられてしまい――?!(作者様のあらすじより抜粋)

 以前に、短編「たんぽぽ仙女」をご紹介した作者様の、シルクロード風中編。全五話。
 滅びた国の亡霊王の噂、空中迷宮、かつて栄華を極めた国の廃墟など、好みの要素いっぱいで楽しかった。

 こちらの作者様は、アラビア風や中華風の、エキゾチックな世界観がとっても魅力的。乙女な恋愛や、程よい伏線、読みやすい文章でおすすめ。

架空戦国小説・夫婦雛物語

2012.09.07.Fri.21:31
架空戦国小説・夫婦雛物語
作品一覧 赤城康彦 様)

 小豪族大高氏の嫡子として生まれた千丸は、大高氏を征服した中村氏の娘、雪姫を妻として娶る。本来なら一家の頭領となるはずが。先祖より受け継いだ城一つを守るために中村氏の家来として、征服者の娘婿として、幾多の戦場を駆け巡ることになった。若き小豪族夫婦と、それを巡る人々を通じて描き出される戦国絵巻。(あらすじ 作者様)

 ちょっと余裕が出てきたような、ないような日々を送ってます。そんな中、拝読したこちら、とっても印象深かったです。

 夫婦の絆の温かさ、戦国時代の残酷さ。生と死。愛情と怨嗟が、このお話では表裏一体。
 また、主人公が仕える大豪族と、宿敵の対比が上手いんです。ただの悪役に留まらない敵って、魅力的ですよねえ。
 その二人が主人公夫婦の運命と絡んで……と、書きたいことはいろいろあるけれど、まずは読んでみていただきたい! 愚直なほど真っ直ぐな主人公の生き様、彼を取り巻く人々の選択に、感じるところが必ずあると思うのですよ!

 ただ、この手の小説に不似合いなカタカナ語の使用が、少々もったいない けれど、物語そのものは非常ーーーーに素晴らしいので、それを理由に読まないのは、もっともったいない。全十三話、完結。おすすめ。

まだらひめ

2012.06.10.Sun.21:24
まだらひめ
(掲載サイト:SPINGO 佃木犬星 様)

 傀儡子一座の見世物である、孤独な少女ナシ。その半身には、無数の経文「マダラ」が刻まれている。
 ある豪雨の夜、数人の僧が傀儡子一座を訪れたことをきっかけに、彼女は「マダラ」の秘密を知るために旅に出るが────。(あらすじ KONA)

 和風な世界観のシリアスFT。モデルはおそらく平安時代ではないかなー。
 この世界で最下層の「文字なし」として、地を這うような生活を送っていた少女ナシが主人公。序盤の雰囲気はなかなか重いです。

 しかし、彼女と旅を共にする、助さん角さん……もとい、ある二人のキャラクターが登場してから、物語は俄然動きはじめます。
 何というか、水と油なこの二人の、どつき漫才が面白いんです(笑) 彼らの影響で、下を向いてばかりだったナシが、自分が何者なのか、何をしたいのか、ということに次第に向き合っていきます。

 やがてナシの「マダラ」は、彼女を権力争いへと巻きこみ────そこで、彼女が知る過酷な真実と、決意。
 ほどよく敷かれた伏線、オチに至るまで、すごくきれいにまとまっている作品です。「買って良かったー!」って思える文庫を一冊、読み切ったような満足感!
 寺門と宮廷の関係など、世界観もきっちりしてて読みごたえアリ。あるいは気になる三角関係。
 長編・完結済です。少し流血描写があるので、苦手な方はご注意を。
 
 ☆ 続きはいただいたコメントのお礼になります。
 ☆ 返信不要でコメントくださった方々も、ありがとうございました!

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